ショートエッセイ#32「AIとビータラン」
- 2025-10-28
- general
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AIとビータラン
酷暑です。だるい。食欲がない。なにかいい方法はないのかなあ。そんな気持ちの方も少なくないことかと思います。
そこでスマホを手にとって、はやりのAIに聞いてみます。即刻の回答は:「体がだるくて食欲がない状態を改善するには、まず規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動を心がけることが大切です。またストレスを解消し、消化の良い食事を少量ずつ摂ることも効果的です。それでも改善しない場合は、医療機関を受診しましょう」– わかってます。そんなこと。暑いからこそ寝苦しい。暑いからこそ運動しにくい。できないことをアドバイスされることほどストレスになることない。
できることといえば消化の良い食事ぐらいか。そこでなんといっても冷やしソーメン。
それでも回復しなかったら医療機関ですって? でもできれば行かないですませたい。お医者さんと薬で2千円支払ったとしても、健康保険も含めれば実はその何倍もを税金で支払っている計算だ。国の財政を支援するためにもここは節約したい—。
ところで、このエッセイの筆者はもうすぐ86歳になる高齢者です。そんな筆者が子供のころ、流行った言葉にビータランという言葉がありました。いまスマホにビータランとキーインしてもなにも出て来ません。忘れられた言葉です。
この言葉、その意味は「B足らん」つまり「ビタミンBが足りない」という意味でした。戦争直後、ともかくお腹に溜まるものを食べるのが精いっぱいで、とくに肉類は貴重品でした。芋など澱粉の多い食品を食べてエネルギーに変えるために必須なビタミンがビタミンB、特にビタミンB1です。そのビタミンB1が不足すると体がだるくて食欲がでない症状がでます。ひどくなれば脚気になります。
ビタミンB不足なんて、そんなことがいまどきあるのか。そこでまたAIに聞いてみます。回答は「はい、現代でもビタミンB不足は十分ありえます。特に、食生活の偏りや特定の状況下では、ビタミンB群が不足しやすくなります」とでました。さらにその特定の状況についてAI は、食生活の偏り(白米白いパンなど精製した食品や加工食品やインスタント食品に偏った食事)、ストレスが多い、アルコールの過剰摂取、妊娠・授乳、加齢、過食、などなど原因が例示されています。
しかし夏場については指摘していません。そこでしつこく、夏場に不足することがあるのか、と聞いたら、そこでAI君初めて「はい、夏場にビタミンBが不足しがちになることがあります。特にビタミンB1とビタミンCは、汗をかくことで失われやすく、夏バテの原因となる疲労回復やストレス軽減に重要な役割を果たすため、意識的な摂取が必要です」とでました。不足しがちとなる原因についてもさまざまな可能性を指摘してきました。まだまだ気が利かないAI君ですが将来に期待しましょう。
松村外志張(Ph.D 副代表)