「ウィズ コロナ?ウィズアウト コロナ?」の追加#1,#2

エッセイ ミルクティーの時間 第2話
「ウィズ コロナ? ウィズアウト コロナ?」への追加#1 20201222

 新型コロナウイルス感染後経過の個人差について、質問をいただいております。
 病状の経過が患者の体の素質あるいは基礎疾患のあるなしなどの健康状態とかかわっているかどうかを知るための有力な手段の一つとして、一卵性双生児での発病の比較研究があります。今年米国ミネアポリス州ロチェスター市の病院から、35歳の一卵性双子がともに新型コロナウイルスに感染した例で感染後の経過が報告されています(Goel M 2020 J Med Cases 11:299-302)。
 双子のどちらの女性も、ともに肥満型でⅡ型糖尿病でしたが、うちの一人は感染後軽症で推移し、6日間の入院で退院したのに反し、もう一人の方は重症化し、集中治療室に移されて、ついに体外式膜型人工肺(ECMO)の着装も余儀ない状態となりました。この方も結局はECMOからの離脱に成功し、退院できたものの、この結果は新形コロナウイルス感染後病状の個人差に、遺伝素因や基礎疾患以外にもなにかの要因が深くかかわっている可能性を示唆するものかと思います。
 感染後病状の個人差がどのような原因によって起きるものなのか、またそれは制御可能なのか、に課題を絞って情報提供できれば、と現在さらに論文調査を進めております。

「ウィズコロナ? ウィズアウトコロナ?」への追加#2 20201230
 高齢者のCoV-2ウイルス感染。いまや医療危機が避けられないとの危機感から悲壮感をもって語られている状況があります。しかしその中でもこの危機を乗り越えておられる高齢者がおられること、追加してさらにあたらしい例に触れさせていただきます。
 98歳のご高齢の方で糖尿病の基礎疾患があります。たまたま整形外科関係のことで近くの病院に入院したところ、院内で新型コロナウイルスのクラスター感染があり、入院患者をPCR検査した際に陽性であることが判明しました。
 しかしこの病院では感染者のケアはできない、ということで、転院となりました。いま転院といっても、簡単でないことは報道されている通りで、実際転院にきまったのは遠くはなれたコロナ専門病院。しかも転院してから家族の面会もできない状態になりました。まことに心痛むことですが、この方は2週間の入院に耐え、その間わずかに体温が上昇した程度のことで、さしたる症状もなく、無事退院されて元の病院に戻られました。
 高齢者であれば一律にこのウイルスへの感受性が高いということでないことが分かってきている現在、なぜこのような個人差があるのか、その原因として可能性のあるさまざまな視点について触れましたが、さらに加えれば、感染してからいかに早く対応できたか、あるいは濃厚感染であったか、希薄な感染であったか、も影響するでしょう。私の身近にあった基礎疾患があった方のいくつかの例はすべて、身近に感染があったので念のため検査したら陽性だったという例ですから、皆さん感染最初期での検査であり、また濃厚感染の可能性も少なかったのではないか。
 有料であるとはいえ、すでにPCR検査はできる体制になってきましたし、またマスクの性能によって、濃厚感染を防ぐこともできる訳ですから、性能に注意してマスクを選択されることも大切なのではないか。
 いずれにせよ、こういった細心の注意が高齢者を含めて人々をこのウイルス感染から守る可能性がある、ということで、さらに詳細な研究や調査が行われているかどうかを探索し、皆様にご紹介したいものと考えております。ご参考となれば幸いです。

hascross 松村外志張