ショートエッセイ#25「コロナワクチン接種判断へのご参考」
コロナワクチン接種判断へのご参考
新型コロナ、規制がなくなり活気が戻ったところで感染が増え、安心なりません。ワクチン接種の再開です。打ちますという方が多いなかで、躊躇される方や打ちませんと明言される方もあります。「現時点でワクチン接種後に遷延する症状(いわゆる後遺症)が起きるという知見はない」と厚労省は明言しています。「–が起きると断定でき
る知見はないが、起きないとも断定できない」ということでしょうか。
ワクチンは感染した場合の重症化を防ぐばかりか、社会からウイルスを除去する最強の手段です。社会の為にいいとはいえ、苦しい思いをしてまで接種しなければならないのかと思う方もあるでしょう。
たとえば北海道の藤沢明徳先生という方がインターネット上で、接種は勧められないと言っておられます。コロナワクチンには打つとかえってウイルス感染を憎悪する効果(ADE)がある場合がある。また変異型の抗原に対するワクチンを打っても、最初に打った原型型の抗原に対する抗体しかできず(抗原原罪効果)、変異型コロナに対して効果が期待できない。小さな子供はコロナに感染しても2日も熱がでれば軽快するのだから、副作用や後遺症の心配をするまでもなく、
打たない方がよい、とのご意見です。藤沢先生の言われる心配が実際に起きるのか、またもしその心配
があるとして回避できないのか。参考情報を提供させて頂きます。
まずADEも抗原原罪効果もコロナウルイスの感染について知られており、コロナワクチン接種にも一部あることが報告されています。
ただしワクチンにはさまざまな種類があり、マイナス効果に注意すべきものとその必要が少ないものがあります。マイナス効果が一部に認められていても、総体として効果が高く、大多数の人には安全性に問題がないことが証明されたものだけが上市されているのです。
一般にワクチンには不活化ワクチン群、生ワク群、そしていまコロナに対して普及している核酸型(DNA-またはmRNA-)ワクチン群の3群あります。それぞれの群にウイルス抗原(またはその遺伝子情報)すべてを含む全体型ワクチンと一部のみを含む成分(コンポネント)ワクチンとがあります。
不活化ワクチンは抗原を呑食細胞に呑食されやすいように加工したワクチンで、抗体産生(液性免疫)を誘導しますが、抗体なしでウイルスと戦うリンパ球を活性化する力(細胞性免疫力)は弱く、その分生ワクや核酸ワクチンよりもワクチン効果が低い場合があります。
一方で生ワクや核酸ワクチンは、ワクチンを体細胞に侵入させてウイルス抗原を発現させるタイプで、発現した体細胞(コロナワクチンの場合は筋肉細胞)がリンパ細胞によって攻撃されて傷害を受ける可能性があるのが弱点です。さらに体細胞のなかで発現・生産された抗原タンパク質が体液中に流出して毛細血管や他の器官の細胞に重篤な傷害を与える可能性が否定できないという弱点もあります。
成分ワクチンはウイルス感染に必要な抗原部分(またはその遺伝子情報)のみからなり、全体型ワクチンと比較してADEの怖れが少ないと期待できるでしょう。また、生ワク以外の2群では投与後しばらくするとその感染防御活性が弱まるいう弱点があるのに対して、BCGや種痘のような一部の生ワクは、一度打つと長期間活性が保たれるという利点があります。
社会では、数ヶ月ごとに新しい型のコロナウイルスの変異株が広がり、その度ごとに変異型コロナに対するワクチンを投入するという、いたちごっこが続いています。研究段階では何種もの型に効果のある多価ワクチンや長期間活性が維持されるコロナ生ワクが報告されていますが、いまのところすべて実用化以前です。
今回のワクチン投与では、2種類のmRNAワクチンと1種類の不活化成分ワクチンの選択肢があります。そのどれも定められた基準内での安全性・有効性は確認されています。しかし藤沢先生が指摘されるような希な場合について危惧するとすれば、不活化成分ワクチンとmRNAワクチンのどちらを選ぶか一考の余地はあるでしょう。
コロナと人間は、社会としては共存もあるかもしれませんが、個人としては総力戦です。逃げ回っているだけではなかなか勝てません。ワクチンはそんな総力戦を圧倒的に有利に導きます。栄養も大切であることは先にエッセイ(お便り#34号)でお話しました。
副作用については一過性の発熱のように大事に至らないものが大部分とはいえ、アナフィラキシーショックのように厳重注意のものもありますから、皆様注意しておられることでしょう。一方後遺症である可能性を否定できないとする事例が少数とはいえ学術報告されていますので、近々にもご紹介して皆様の判断の参考に供します。ホームページを訪問ください。因果関係が疑われるが確定できない場合には政府は動けないとすれば、市民間での互助活動が大切なのではないでしょうか。利益を受けるのもお互い様なのですから。
2023/10/08 松村記